位牌の数え方と読み方を徹底解説!白木位牌や英語表現まで網羅

位牌の数え方は一柱が正解!種類別の読み方や基礎知識を解説 仏教

突然の訃報に接し、葬儀や法要の準備に追われる中で、「位牌の数え方」が分からず戸惑ってしまう喪主様は少なくありません。普段の生活では馴染みのない「白木位牌」の読み方や、「回出位牌」の読み方にも自信が持てず、四十九日法要に向けて用意すべき「本位牌」の読み方や、一般的な「お位牌読み方」のマナーについて不安を感じる場面もあるでしょう。

また、昨今の事情から、災害時などに使われる「紙位牌」の存在や、海外の親族に説明するための「位牌の英語」表現を知りたいというニーズも増えています。さらに、先祖代々の位牌をまとめる「繰り出し位牌」の中にある「白木札」の扱いや、役目を終えた位牌が集まる「位牌山」についての知識も、将来的な仏壇じまい等を考える上で重要です。

この記事では、位牌の正しい読み方や英語表現、仮の位牌から本位牌への移行手順、繰り出し位牌の構造、そして位牌の種類の違いまで、初めての方でも安心して供養を行えるよう網羅的に解説します。

  • 位牌の正式な数え方「一柱」の意味と由来
  • 白木位牌や本位牌など、種類別の正しい読み方と特徴
  • 夫婦位牌の数え方や、浄土真宗における位牌ルールの違い
  • 紙位牌や位牌山など、特殊な位牌に関する基礎知識

こちらの記事も読まれています

基本となる位牌の数え方と種類ごとの読み方

位牌には、日本古来の信仰に基づいた独特の数え方があり、普段私たちが使っている「個」や「枚」といった単位とは異なる呼び方をします。また、位牌にはいくつかの種類が存在し、それぞれに正式な名称と役割、そして使用する期間が定められています。

ここでは、社会人として知っておきたい位牌の数え方の基本と、種類ごとの正しい読み方について詳しく解説します。

知っておくべき位牌の種類とそれぞれの特徴

知っておくべき位牌の種類とそれぞれの特徴

位牌はその役割や使用する期間によって、大きく分けて数種類に分類されます。最も一般的で目にする機会が多いのが、葬儀から四十九日まで使用する「白木位牌」と、四十九日以降に仏壇へ永く安置する「本位牌」です。

白木位牌は、まだ成仏への旅の途中である故人の魂が一時的に宿る場所とされており、白木の無垢な板で作られた仮のものです。一方、本位牌は故人の魂が安住するための場所であり、漆塗りや金箔などで美しく装飾され、数十年単位で保存できるように作られているのが特徴です。

さらに、先祖代々の位牌が増えてきた際に用いられる「回出位牌(繰り出し位牌)」や、複数の戒名を並べて記す「夫婦位牌」、寺院の本堂に祀られる「寺院位牌」などもあります。それぞれの位牌が持つ意味や役割を正しく理解することで、状況に応じた適切な供養を行うことができます。

位牌の主な種類と役割まとめ

種類 読み方 役割・特徴
白木位牌 しらきいはい 葬儀から四十九日まで使う仮の位牌。白木で作られる。
本位牌 ほんいはい 四十九日以降に仏壇に祀る正式な位牌。塗や唐木で作られる。
回出位牌 くりだしいはい 複数の札板を一つにまとめた箱型の位牌。先祖用。
寺院位牌 じいんいはい 自宅ではなく、お寺の本堂や位牌堂に祀られる位牌。

間違いやすいお位牌の読み方の基本

間違いやすいお位牌の読み方の基本

位牌の数え方で最も正統とされ、供養の場で使うべきなのは「一柱(ひとはしら、いっちゅう)」です。これは、古来より日本の神道において神様を「柱」と数えていたことに由来します。

位牌は単なる「物」ではなく、故人の魂が宿る依代(よりしろ)として尊ぶべき対象であるため、神様と同じように「柱」という助数詞を用いて数えるのがマナーとされています。

ただし、状況によっては異なる数え方が使われることもあります。例えば、仏壇店などで商品として扱われている時や、配送業者が荷物として数える際には「一本(いっぽん)」や「一個(いっこ)」と呼ばれることもあります。

また、大型の位牌や、設置されたモニュメントのような側面から「一基(いっき)」と数えるケースも見られます。

日常会話での注意点 家族や親族との会話、あるいはお寺様とのやり取りの中では、「一柱、二柱」と数えるのが最も丁寧で間違いがありません。「個」と呼ぶと、単なるモノ扱いしているような印象を与えてしまう可能性があるため注意しましょう。

白木位牌の読み方と仮位牌の役割

白木位牌の読み方と仮位牌の役割

白木位牌の正しい読み方は「しらきいはい」です。別名として「仮位牌(かりいはい)」、「内位牌(うちいはい)」、地域によっては「野位牌(のいはい)」と呼ばれることもあります。

白木位牌は、葬儀の祭壇に祀られ、その後四十九日法要まで自宅の祭壇(中陰壇)に安置されます。この期間、故人の魂はまだこの世とあの世の間を彷徨っている(中陰の期間)とされ、白木位牌はその魂が一時的に身を寄せる仮の宿としての役割を果たします。

四十九日の忌明け(満中陰)を迎えると、魂は本位牌へと移され、白木位牌はその役目を終えます。役目を終えた白木位牌は、四十九日法要の際に菩提寺に納めてお焚き上げ(浄焚)してもらうのが一般的な流れです。

本位牌の読み方と本位牌への切り替え

本位牌の読み方と本位牌への切り替え

本位牌の読み方は「ほんいはい」です。四十九日法要を境に、仮の白木位牌から切り替えて使用する正式な位牌のことを指します。「塗位牌(ぬりいはい)」や「唐木位牌(からきいはい)」といった材質による呼び分けもあります。

本位牌への切り替えは、四十九日法要の儀式の中で行われます。これを「開眼供養(かいげんくよう)」または「魂入れ(たましいいれ)」と呼びます。この儀式によって、単なる木の板であった本位牌に故人の魂が宿り、礼拝の対象となります。

本位牌には、漆を塗り金粉で装飾した「塗位牌」や、黒檀・紫檀などの銘木を使用した「唐木位牌」などがあり、仏壇の雰囲気や予算に合わせて選ぶことができます。一度作ると数十年にわたって祀られるものなので、耐久性の高い素材が選ばれる傾向にあります。

全日本仏教会などの情報によると、仏具の扱いは宗派によっても異なるため、不明な点は菩提寺に確認することが推奨されています。(参考:全日本仏教会公式サイト

回出位牌の読み方と繰り出しの仕組み

回出位牌の読み方は「くりだしいはい」です。「繰り出し位牌」と表記されることも多く、どちらも同じものを指します。読み方が難しいため、「かいしゅついはい」と誤読されることもありますが、一般的には「くりだしいはい」が通称です。

回出位牌は、厚みのある箱のような形状をしており、屋根や扉がついているのが一般的です。最大の特徴は、その内部に複数枚の薄い木の札(中板)を収納できる点です。通常、一番手前には「〇〇家先祖代々之霊位」と書かれた黒塗りの札を入れ、その後ろに故人の戒名が書かれた白木の札を納めます。

「繰り出し」という名前の由来は、命日や法要の際に、該当するご先祖様の札を一番手前に「繰り出す(順番を回す)」ことから来ています。これにより、一つの位牌で複数のご先祖様を供養することが可能となり、仏壇の中が位牌で溢れてしまうのを防ぐことができます。

特殊なケースの位牌の数え方と関連知識

位牌には、一般的な本位牌以外にも、特殊な事情や目的で使用される種類があります。また、夫婦位牌や宗派による違いなど、知っておくとトラブルを防げる知識もあります。ここでは、少し専門的ですが重要な位牌の知識について解説します。

夫婦位牌は一柱か二柱か数え方の違い

夫婦位牌は一柱か二柱か数え方の違い

一つの位牌に夫婦二人の戒名を並べて入れる「夫婦位牌(めおといはい)」の場合、数え方に迷う方が多くいらっしゃいます。この場合、物理的な「物」としては1つですが、宿っている魂は2つであるため、数え方は文脈によって変わります。

  • 供養の場・お寺様に対して:「二柱(ふたはしら)」の魂が宿っていると考えます。閉眼供養などの依頼をする際は「夫婦位牌に二名の戒名が入っています」と伝えるとスムーズです。
  • 仏具店への注文・配送時:物理的な個数である「一基(いっき)」または「一本(いっぽん)」として扱います。

文字入れ代の注意点 位牌を注文する際、夫婦連名の場合は「位牌本体の代金(1個分)」に加え、「文字入れ代(2名分)」が必要になるケースが一般的です。数え方と同様に、費用も「2名分」の要素が含まれることを覚えておきましょう。

浄土真宗では位牌を作らない?宗派の注意点

浄土真宗では位牌を作らない?宗派の注意点

位牌の数え方を知る以前に、宗派によるルールの違いにも注意が必要です。特に「浄土真宗(本願寺派・大谷派など)」では、教義上、原則として位牌を作りません。

浄土真宗では、故人はすぐに浄土に往生すると考えられているため、魂が宿る依代としての位牌を必要としないのです。その代わりに、法名(戒名)を記した「過去帳(かこちょう)」や掛け軸の「法名軸(ほうみょうじく)」を用いてお祀りします。

ただし、地域や現代の住宅事情により、浄土真宗でも位牌を作るケースが増えています。トラブルを防ぐため、位牌を作る前には必ず菩提寺(お世話になっているお寺)に相談することをおすすめします。浄土真宗本願寺派の公式サイトでも、法名や過去帳についての解説がなされています。(参考:浄土真宗本願寺派 本願寺(西本願寺)

繰り出し位牌の中にある白木札の扱い

繰り出し位牌の中にある白木札の扱い

繰り出し位牌の中には、通常1枚の黒塗りの札と、数枚から10枚程度の白木の札(中板)が入っています。この白木札は、「繰り出し位牌 白 木札(くりだしいはい しらきふだ)」などと呼ばれ、個人の戒名や没年月日を記すためのものです。

この白木札に文字を入れる際は、一般的にお寺のご住職に依頼して墨書きしてもらいます。最近では仏具店で機械書きや彫刻を行ってくれる場合もありますが、菩提寺がある場合はまずお寺に相談するのがマナーです。

白木位牌との混同に注意 ここで言う「白木札」は、回出位牌の中に入れる薄い板のことです。葬儀から四十九日まで使う「白木位牌(仮位牌)」とは全く別のものですので、混同しないようにしましょう。

災害時や一時的に使う紙位牌とは

災害時や一時的に使う紙位牌とは

あまり一般的ではありませんが、「紙位牌(かみいはい)」と呼ばれる紙製の位牌も存在します。これは主に、予期せぬ事情や緊急時に用いられる簡易的な位牌です。

紙位牌が使われる主なケースとしては、大規模な災害などで本来の位牌を紛失してしまった場合や、経済的な事情によりどうしても本位牌を購入することが困難な場合などが挙げられます。また、水子供養や、遠方での法要のために一時的に祭壇を設ける際にも利用されることがあります。

紙製とはいえ、僧侶による読経と魂入れが行われれば、立派な位牌としての役割を果たします。しかし、耐久性には乏しいため、あくまで一時的な措置として扱われることがほとんどです。

役目を終えた位牌が集まる位牌山

「位牌山(いはいやま)」とは、弔い上げ(三十三回忌や五十回忌など)を終えて役割を終えた位牌や、承継者がいなくなり無縁仏となった位牌が、お寺の境内や特定の場所に集められて安置されている場所を指します。

かつては、これらの古い位牌はお寺の庭などで「お焚き上げ(野焼き)」されていました。しかし近年では、環境省の指導などによる野焼き規制や防災の観点から、野外での焼却が難しくなっています。(参照:環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律

そのため、位牌山に一時的に安置した後、専門の業者やお寺の焼却炉で定期的にお焚き上げ(浄焚)されることが一般的になっています。

自分の家の位牌を整理する際も、勝手に処分するのではなく、必ず菩提寺に相談して「閉眼供養(魂抜き)」を行ってもらい、適切にお焚き上げを依頼する必要があります。

位牌を英語で説明する際の英語表現

位牌を英語で説明する際の英語表現

国際化が進む現代では、海外の方に日本の仏教文化や位牌について説明する機会があるかもしれません。位牌を英語で表現する場合、いくつかの言い方があります。

英語表現 ニュアンス・解説
Spirit tablet 最も一般的な表現。「魂(Spirit)の宿る板(Tablet)」という意味で、位牌の役割を直感的に伝えやすい言葉です。
Memorial tablet 「追悼・記念(Memorial)の板」という意味。宗教的なニュアンスが少し薄まり、記念碑的な意味合いが強くなります。
Buddhist mortuary tablet 「仏教の(Buddhist)埋葬・死に関する(mortuary)板」という意味。より説明的で、宗教的な文脈を明確にしたい場合に使われます。

説明のポイント 単に単語を伝えるだけでなく、「It is believed that the spirit of the deceased resides in it.(故人の魂がそこに宿ると信じられています)」と補足すると、位牌が日本人にとってどれほど大切なものかが伝わりやすくなります。

マナーを守る位牌の数え方のまとめ

位牌の数え方や種類に関する知識は、故人を敬い、正しく供養するために大切です。最後に記事のポイントをまとめます。

  • 位牌の正式な数え方は一柱(ひとはしら)である
  • 配送や在庫管理などでは一本や一個と数えることもある
  • 白木位牌はしらきいはいと読み四十九日まで使う仮の位牌である
  • 本位牌はほんいはいと読み四十九日以降に使う正式な位牌である
  • 回出位牌はくりだしいはいと読み複数の札をまとめる箱型の位牌である
  • 夫婦位牌は物は1つだが魂は二柱として数える場合がある
  • 浄土真宗では原則位牌を作らず過去帳や法名軸を用いる
  • 回出位牌の中には白木札と呼ばれる書き込み用の板が入っている
  • 紙位牌は災害時や経済的理由で使われる簡易的な位牌である
  • 位牌山は役目を終えた位牌が集められ安置される場所である
  • 位牌の英語表現にはSpirit tabletやMemorial tabletなどがある
  • 位牌は単なる物ではなく故人の魂が宿る依代として扱う
  • 古い位牌を処分する際は必ず閉眼供養とお焚き上げを行う
  • 位牌の種類や役割を理解することで状況に合った供養ができる
  • 不明な点は自己判断せず菩提寺や仏具店に相談するのが賢明である
タイトルとURLをコピーしました