位牌をお寺に預ける費用相場を徹底解説!永代供養・処分

位牌をお寺に預ける費用はいくら?永代供養・お布施の目安 仏教

「位牌をお寺に預ける費用はいくらかかるのだろう?」と悩んでいませんか。継承者がいない、仏壇が複数ある、引っ越しや施設入居で管理が難しいなど、ご家庭の事情は様々です。ご先祖様を大切に思うからこそ、位牌はいつまで祀るべきか、処分する際のタイミングはいつが適切なのか、気になることは尽きません。

この記事では、位牌をお寺に預ける費用の全体像を、あらゆる角度から徹底的に解説します。中心となる位牌 永代供養 相場はもちろん、仏壇に位牌 複数ある場合に便利な位牌 繰り出し(繰り出し位牌)へまとめる費用や、古くなった位牌 作り直し 費用についても詳しく触れます。

また、供養じまいとして避けられない位牌 お焚き上げ 費用や、その際に必要となる位牌 処分 お布施、位牌 お焚き上げ お布施、さらには位牌 まとめる お布施など、僧侶にお渡しするお布施の具体的な金額の目安も、わかりやすくご紹介します。ご自身の状況に最も適した方法を見つけるための一助となれば幸いです。

  • 状況別の費用相場(永代供養・一時預かり・処分)
  • 位牌を「まとめる」「作り直す」際にかかる費用
  • 位牌を預ける具体的な手順と依頼先の選び方
  • 供養や処分に関するお布施の目安

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位牌をお寺に預ける費用の早見表

位牌を「どうしたいか」によって、必要な費用は大きく異なります。まずはご自身の状況に合わせて、費用の全体像を把握しましょう。ここでは「永代供養」「一時預かり」「処分」の3つのパターンに分けて、費用の目安を早見表でご紹介します。費用に幅があるのは、お寺の格や地域差、供養内容の詳細によって変動するためです。

位牌をどうしたいか 費用の目安 主な内容・目的
① 永続的に管理・供養したい (永代供養) 1万円~50万円程度 継承者がいない場合など。位牌のみの供養から納骨堂での安置まで幅がある。
② 一時的に預けたい (一時預かり) 年間 1万円~3万円程度 家のリフォーム、長期不在、引っ越しなどの際に一時的に預かってもらう。
③ 処分・供養じまいしたい (お焚き上げ) 1万円~5万円程度 閉眼供養(魂抜き)のお布施と、お焚き上げ(焼却供養)の費用。

費用の注意点 上記の金額はあくまで一般的な目安です。費用は、お住まいの地域、依頼するお寺や霊園の格、供養の内容(例:個別供養の回数、安置場所のグレード)によって大きく変動します。

また、永代供養の場合は、初期費用とは別に年間管理費が必要かどうか、契約期間終了後はどうなるのか(自動的に合祀されるか等)を、必ず事前に複数の依頼先から見積もりを取り、詳細な内訳を確認してください。

永代供養(永続的な管理)の費用

永代供養(永続的な管理)の費用

継承者がいない、あるいは遠方で管理が難しいといった理由から、ご自身に代わってお寺や霊園に永続的な管理と供養を依頼するのが「永代供養」です。核家族化や少子化が進む現代において、無縁仏になることを避けるための選択肢として広く選ばれています。永代供養には、位牌をどのように安置するかによって、いくつかのパターンがあります。

1. 位牌のみの永代供養(合祀) 位牌のみを受け入れ、お寺や霊園の供養塔や合祀墓の近くにある位牌堂などで、他の方の位牌と一緒に供養(合祀)する形式です。一定期間(お寺によります)供養された後、最終的にはお焚き上げされることが一般的です。費用を最も抑えられる方法とされています。 費用の目安:1基あたり 1万円~5万円程度

合祀のメリットは費用が安価であることですが、デメリットとして、一度合祀されると他の方の位牌と一緒になるため、特定の位牌だけを取り出すことはできなくなります。この点は事前に親族間でよく話し合う必要があります。

2. 位牌堂・納骨堂での個別安置 お寺や霊園が管理する位牌堂や、納骨堂内の専用スペース(棚、ロッカー、仏壇式など)に、個別に位牌を安置する形式です。多くの場合、三十三回忌や五十回忌など、「弔い上げ」の節目までの一定の契約期間が定められています。期間終了後は、前述の合祀供養に移されるのが一般的です。

費用に大きな幅があるのは、納骨堂の設備(機械式、仏壇式など)や立地(駅からのアクセスなど)、個別供養の頻度によって料金が異なるためです。 費用の目安:1基あたり 10万円~50万円程度(別途、年間の管理費が数千円~2万円程度かかる場合もあります)

お骨(遺骨)と一緒に永代供養する場合 お骨も一緒に永代供養(納骨)する場合は、納骨堂や永代供養墓(合祀墓、樹木葬など)の費用が別途必要になります。費用は数十万円から百万円以上と様々です。その際、位牌も同じブース内に安置できるプランや、費用内に位牌の安置料・供養料が含まれているプランもあります。

一時預かり(リフォーム等)の費用

一時預かり(リフォーム等)の費用

家の建て替えやリフォーム、長期の海外出張・入院、介護施設への入居待ちなど、一時的に位牌の管理が難しくなった場合に利用できるのが「一時預かり」です。ご先祖様を粗末にしたくないというお気持ちに応えるサービスと言えます。

依頼先は、まず菩提寺(檀家になっているお寺)に相談するのが良いでしょう。関係性があれば快く引き受けてくださる場合が多いです。菩提寺がない、あるいは遠方である場合は、一時預かりサービスを提供している納骨堂や、仏壇店、専門業者などに依頼します。費用は月単位や年単位で設定されていることが多く、比較的安価に利用できるのが特徴です。

費用の目安:月額 1,000円~3,000円程度 / 年額 1万円~3万円程度

一時預かりを依頼する際は、以下の点を確認しておくことが大切です。

  • 預かり期間の延長は可能か、その場合の料金はいくらか。
  • 期間終了後、位牌はどのように返却されるのか(送料負担など)。
  • 期間終了後、そのまま永代供養に切り替えることは可能か。
  • 預かり中の管理体制(例:耐震・耐火性、空調管理、セキュリティ)は万全か。

処分・お焚き上げの費用

処分・お焚き上げの費用

位牌を「永代供養(合祀)にする」「まとめる」といった場合、これまで祀ってきた古い位牌は「処分」することになります。

この場合の「処分」とは、単にゴミとして捨てることではありません。これはご先祖様への感謝を込めて供養を終える「供養じまい」という大切な儀式の一部です。必ず「閉眼供養(魂抜き)」という儀式を行い、その後に「お焚き上げ(焼却供養)」するのが正式な手順となります。この一連の手続きにかかる費用の総額を指します。

費用の目安:合計 1万円~5万円程度

内訳は主に「閉眼供養のお布施」と、お焚き上げの「実費(お焚き上げ料)」の2つです。これらについては、次の「ケース2」で詳しく解説します。

なぜ預けたい?位牌の管理でよくある悩み

位牌の管理について悩み始めるきっかけは、ご家庭によって様々です。「費用を知りたい」という思いの背景には、多くの場合、ご先祖様を大切にしたいという気持ちと、現実的な管理の難しさとの葛藤があります。どのような悩みが多いのか、現代の社会事情とあわせて具体的に見ていきましょう。

継承者がいない・仏壇じまい

継承者がいない・仏壇じまい

最も多く、また切実な悩みが、「継承者(後継ぎ)がいない」という問題です。ご自身が高齢になり、自分の代で仏壇の管理を終えたいと考える「仏壇じまい」を検討する方が増えています。

例えば、「自分は独身である」「子供がいない」「子供はいるが娘だけで、嫁いでしまった」「子供はいるが遠方に住んでおり、戻ってくる予定がない」といったケースです。こうした背景から、「自分の死後、ご先祖様の位牌や仏壇の管理を誰にも託せず、無縁仏になってしまうのではないか」という不安が、永代供養を検討する大きな動機となります。

実際に、日本の高齢化率は上昇を続けており、単独世帯や夫婦のみの世帯も増加傾向にあります。(出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」)こうした社会構造の変化が、位牌の管理に関する悩みに直結していると言えます。

引っ越しや施設入居で置けない

引っ越しや施設入居で置けない

ライフスタイルの変化も大きな理由の一つです。例えば、広い一戸建てからコンパクトなマンションやアパートへ引っ越す際、仏壇を置く物理的なスペースがなくなるケースです。現代の住環境に合わせた小さな仏壇(モダン仏壇など)に買い替える方もいますが、それも難しい場合があります。

また、ご高齢の方が老人ホームや介護施設に入居する際も、大きな課題となります。多くの場合、共同生活のルールや、火気厳禁(線香やロウソクが使えない)、スペースの制約などから、施設に仏壇や位牌を持ち込めないことがほとんどです。そのため、ご自宅にある位牌をどうするか、という問題に直面します。この場合、将来的に自宅に戻る可能性があるか否かで、「一時預かり」か「永代供養」かの判断が変わってきます。

位牌はいつまで祀る?(弔い上げ)

位牌はいつまで祀る?(弔い上げ)

「位牌はいつまで祀るものなのか?」という素朴な疑問も、位牌の整理を考えるきっかけになります。

仏教の多くの宗派では、故人が亡くなってから一定の年月が経つと、「弔い上げ(とむらいあげ)」といって個別の供養を終える風習があります。これは、故人の霊が十分に浄化され、個別の霊からご先祖様全体の霊(祖霊)に合一するという考え方に基づいています。

一般的には三十三回忌や五十回忌を節目とすることが多いですが、宗派や地域、お寺の考え方によっても異なります。

この弔い上げのタイミングは、それまで個別に祀ってきた位牌を整理し、「〇〇家先祖代々之霊位」といった一つの位牌にまとめたり、永代供養に切り替えたりするのに、非常に良い節目と捉えられています。

【ケース1】位牌をお寺に預ける費用(永代供養・一時預かり)

位牌の管理をお寺に任せる方法として、最も一般的なのが「永代供養」と「一時預かり」です。この2つの最大の違いは、「永続的」か「一時的」かという点です。ご自身の状況や将来の見通しと照らし合わせ、どちらが適切かを判断する必要があります。それぞれの特徴と費用相場を、さらに詳しく解説します。

位牌の永代供養の相場

位牌の永代供養の相場

前述の通り、「永代供養」とは、継承者に代わってお寺や霊園が永続的に位牌の管理・供養を行うことです。費用は、位牌の安置方法やサービス内容によって大きく異なります。

永代供養の主なパターンと費用目安

  • 位牌のみ合祀: 1基 1万円~5万円程度 最も安価な方法です。位牌堂などで他家の位牌と一緒に安置・供養され、最終的にはお焚き上げされます。一度合祀すると取り出せないため、親族間の合意が必須です。
  • 個別安置(位牌堂・納骨堂): 1基 10万円~50万円程度 位牌堂の棚や、納骨堂のロッカー式・仏壇式のスペースなどに個別に安置されます。費用に幅があるのは、施設の立地(駅近など)や設備(機械式、豪華な仏壇式など)、供養の頻度(毎月読経がある等)によって変動するためです。多くの場合、三十三回忌などの契約期間があり、その後は合祀に移されます。
  • お骨とセット(納骨堂など): 数十万円~ 納骨堂や永代供養墓にお骨と一緒に納めるプランです。お骨と同じブースに位牌も置けるタイプや、お骨は納骨壇・位牌は別の位牌堂に安置されるタイプなど様々です。プラン料金に位牌の費用が含まれるか確認が必要です。

永代供養を依頼すると、多くの場合「永代供養(過去)帳」のような名簿に故人の情報が記載され、お寺が続く限り、お彼岸やお盆などに合同で供養(読経)が行われます。希望すれば合同法要に参列できる場合もあります。ご先祖様が無縁になることを防ぎ、供養を継続できるのが最大のメリットです。

一時預かりの料金目安

一時預かりの料金目安

「一時預かり」は、文字通り、一定期間だけ位牌を預かってもらうサービスです。リフォームや長期不在の際に非常に便利です。

依頼先としては、菩提寺(檀家寺)があれば、まず相談してみるのが良いでしょう。快く引き受けてくださるケースも多いです。菩提寺がない場合は、インターネットなどで「位牌 一時預かり」と検索すると、サービスを提供している納骨堂や専門業者を見つけることができます。

依頼先 メリット デメリット・注意点
菩提寺(檀家寺) ・関係性があり、最も安心できる ・そのまま永代供養の相談もしやすい ・檀家であることが前提の場合が多い ・専門の保管設備がない場合もある
納骨堂・霊園 ・専門の保管スペースがある(空調管理など) ・宗派不問の場合が多い ・あくまで「場所貸し」の場合がある ・管理費が別途必要な場合がある
専門業者・仏壇店 ・手続きが簡便で、郵送対応も可能 ・料金体系が明確 ・永代供養への移行は別途手続きが必要 ・管理体制をしっかり確認する必要がある

費用の目安は、年間で1万円~3万円程度が相場とされています。月単位(1,000円程度~)で預けられるところもあります。

一時預かりの注意点 契約前に、預かり中の管理体制(耐火性、耐震性、セキュリティ、カビ対策の空調など)を必ず確認しましょう。また、契約期間が終了した後の対応(自動延長の有無、返却方法、送料、永代供養への移行可否)についても、書面で確認しておくことがトラブル防止につながります。

【ケース2】位牌をお寺に預ける費用(処分・お焚き上げ)

永代供養や位牌をまとめる際、これまで使っていた古い位牌は「処分」することになります。この「処分」は、ご先祖様への感謝を伝える最後の重要な供養のプロセスです。単なる廃棄ではなく、適切な手順を踏む必要があります。ここでは、処分に必要な「閉眼供養(魂抜き)」のお布施や、お焚き上げの費用について詳しく解説します。

位牌の処分とお布施の目安

位牌の処分とお布施の目安

位牌を処分する際、絶対に避けるべきなのは「一般ゴミとして捨てる」ことです。位牌は、開眼供養(魂入れ)を経て、故人の魂が宿る「依り代」とされています。そのため、処分する前には必ず「閉眼供養(へいがんくよう)」または「魂抜き(たましいぬき)」と呼ばれる儀式が必須です。

これは、僧侶に読経してもらい、位牌に宿った魂を抜いて、ただの「モノ」(元の木の札)にお還しする儀式を指します。この儀式により、私たちは感謝の気持ちを込めてご先祖様をお送りすることができます。この儀式に対してお渡しするのが「お布施」です。

閉眼供養のお布施の目安:1万円~5万円程度

この金額はあくまで目安であり、お寺との関係性や地域によっても異なります。不明な場合は、お寺に「皆様、おいくらほどお包みされていますか」と尋ねても失礼にはあたりません。

お車代・御膳料について ご自宅の仏壇前や法要の会場などに僧侶をお呼びして閉眼供養を行う場合、お布施とは別に以下の費用を包むのが丁寧なマナーです。

  • お車代: 5,000円~1万円程度(僧侶の交通費として)
  • 御膳料: 5,000円~1万円程度(法要後の会食(お斎)に僧侶が参加されない場合に、食事代として)

これらは白い封筒に入れ、お布施とは別にお渡しします。

位牌のお焚き上げの費用

位牌のお焚き上げの費用

閉眼供養を終え、魂が抜かれた位牌は、最終的に「お焚き上げ(おたきあげ)」によって浄火で焼却し、天にお還しします。

お焚き上げは、閉眼供養を依頼したお寺や神社でそのまま引き受けてもらえることが多いです(お寺によっては「お焚き上げ」ではなく「焼却供養」と呼ぶ場合もあります)。また、仏壇・仏具店や、お焚き上げ専門業者が代行サービスを行っている場合もあります。

お焚き上げ料の目安:

  • お寺・神社: 5,000円~3万円程度(お布施に含む場合もあり)
  • 専門業者・仏壇店: 1基 3,000円~2万円程度(サイズや郵送の可否による)

費用に幅があるのは、お寺や神社の場合「お焚き上げ料」として明確に金額が決まっている場合と、「お気持ちで(お布施に含めて)」とされる場合があるためです。専門業者の場合は、郵送キット代や供養証明書の発行手数料が含まれていることもあります。

仏壇や仏具の処分に関しては、業界団体が定めたルールもあります。例えば、仏壇公正取引協議会では、仏壇の品質表示や原産国表示に関する自主規制基準を設けており、処分の際にも信頼できる仏具店(同協議会加盟店など)に相談することが推奨されます。

位牌のお焚き上げのお布施

位牌のお焚き上げのお布施

「位牌のお焚き上げのお布施」というキーワードで検索される場合、多くの方が「閉眼供養のお布施」と「お焚き上げ料」をトータルでいくら包めばよいか、を悩んでいます。

この場合、最も確実なのは、閉眼供養を依頼するお寺に「お焚き上げまでお願いしたいのですが、お布施は(お焚き上げ料も含めて)いくらお包みすればよろしいでしょうか」と素直に尋ねることです。

お寺によっては、「閉眼供養のお布施(例:3万円)を頂戴いたします。お焚き上げ料は結構です(お布施に含まれています)」という場合もあれば、「お布施とは別に、お焚き上げ料として5,000円を(お焚き上げを委託する業者への実費として)頂戴します」という場合もあります。対応はお寺によって様々ですので、臆せず確認しましょう。

「位牌 処分 お布施」と「位牌 お焚き上げ お布施」は、実質的に「閉眼供養(魂抜き)のお布施」と「お焚き上げ実費」を指していることが多いです。トータルで1万円~5万円程度(お車代などを除く)を見ておくとよいでしょう。

【ケース3】仏壇の位牌が複数に…まとめる費用

仏壇にご先祖様の位牌が複数並び、管理が難しくなるケースも少なくありません。これは、ご先祖様を代々大切に祀ってきた証拠でもありますが、仏壇が位牌でいっぱいになり、お供え物や掃除のスペースがなくなってしまうという物理的な問題や、全ての位牌に目を行き届かせることが難しいという心理的な負担にもつながります。特に古い位牌が増えてきた場合、一つの位牌に「まとめる」ことで、管理の負担を減らすことができます。

繰り出し位牌でまとめる費用

繰り出し位牌でまとめる費用

仏壇に位牌が複数ある場合、それらを一つにまとめる方法として「繰り出し位牌(くりだしいはい)」(回出位牌とも呼ばれます)を用いるのが一般的です。これは、位牌本体が箱型になっており、その中にご先祖様の戒名や俗名、没年月日などを記した複数の札板(ふだいた)を納めることができる構造になっています。

通常、一番手前の札板には「〇〇家先祖代々之霊位」といった文字を記し、二枚目以降に個人の札板を命日の順に納めます。月命日には該当する故人の札板を一番手前に出す、といった祀り方をします。

位牌をまとめる(繰り出し位牌を新調する)場合、主に以下の3つの費用がかかります。

1. 新しい繰り出し位牌の本体代 デザインや材質によって価格が大きく異なります。材質には、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などの重厚な「唐木(からき)位牌」や、漆塗りに金箔・金粉で装飾された「塗(ぬり)位牌」、蒔絵が施されたものなどがあります。 費用の目安:2万円~7万円程度

2. 札板への文字入れ(彫刻)料 中に納める札板にご先祖様の戒名などを彫る(または書く)費用です。機械彫りか手書きか、また札板の枚数によって費用が変わります。 費用の目安:1名分(札板1枚) 3,000円~1万円程度

3. 供養(お布施) 古い位牌の魂を抜き、新しい位牌に魂を入れる儀式が必要です(次項で詳しく解説します)。

「先祖代々之霊位」の位牌について 繰り出し位牌ではなく、「〇〇家先祖代々之霊位」という一つのシンプルな位牌にまとめる方法もあります。これは主に、弔い上げ(三十三回忌など)を終えたご先祖様をまとめて祀る際に用いられることが多いです。この場合も、新調する位牌本体代、文字入れ料、そして供養のお布施が必要となります。

位牌をまとめる際のお布施

位牌をまとめる際のお布施

複数の位牌を新しい繰り出し位牌(または先祖代々位牌)にまとめる際は、必ず2つの儀式が必要になります。これは仏壇を新しく買い替える際などと同じ考え方です。

  1. 閉眼供養(魂抜き): これまで祀ってきた古い複数の位牌への感謝を込め、宿っている魂を抜く儀式。
  2. 開眼供養(魂入れ): 新しく用意した繰り出し位牌にご先祖様の魂を移し、新たな依り代とするための儀式。

多くの場合、お寺やご自宅に僧侶をお呼びし、この2つの儀式を同時に(古い位牌の閉眼供養の後、続けて新しい位牌の開眼供養を)行ってもらいます。その際にまとめてお布施をお渡しします。「位牌をまとめるお布施」とは、この一連の儀式に対する謝礼を指します。

お布施の目安:3万円~10万円程度

金額に幅があるのは、まとめる位牌の数や、法要の規模、お寺との平素からの関係性によっても変動するためです。四十九日などの年忌法要と同時に行う場合は、通常の法要のお布施に1万円~3万円程度上乗せしてお包みするという考え方もありますが、これもあくまで一例です。必ずお寺にご確認ください。

位牌の作り直しにかかる費用

位牌の作り直しにかかる費用

「位牌の作り直し」とは、位牌をまとめる以外に、以下のような理由で新しい位牌に新調する場合を指します。

  • 位牌が古く、経年劣化で傷んでしまった(ヒビ割れ、金箔の剥がれなど)。
  • 文字が薄れて読みにくくなってしまった。
  • 火災や水害、地震などで損傷してしまった。
  • 引っ越し先の仏壇が小さく、既存の位牌のサイズが合わない。

この場合にかかる費用も、基本的には「まとめる」場合とプロセスが同じであるため、費用内訳も同様になります。

【位牌作り直しの費用内訳】

  • 新しい位牌の本体代: 2万円~7万円程度(選ぶ位牌のグレードによる)
  • 文字入れ料: 3,000円~1万円程度
  • 供養のお布施(古い位牌の閉眼供養+新しい位牌の開眼供養): 3万円~10万円程度

合計費用の目安:5万円~15万円程度

位牌の本体代は、材質や装飾によって大きく変わるため、仏具店で実物を見て、機能性(サイズ)と価格のバランスを考えて選ぶことをお勧めします。

失敗しない!依頼先選びと預ける手順

位牌を預ける費用や方法がわかったら、次は「どこに依頼し、どう進めるか」という実践的なステップです。ご先祖様の大切な拠り所であり、時には高額な契約にもなるため、トラブルなくスムーズに進めたいものです。「知らなかった」と後悔しないためにも、依頼先の選び方から、実際の手順、よくある疑問までを詳しく解説します。

どこに預ける?依頼先の選び方

どこに預ける?依頼先の選び方

位牌を預ける(永代供養や一時預かり)依頼先には、主に3つの選択肢があります。それぞれの特徴(メリット・デメリット)を理解し、ご自身の状況(菩提寺の有無、予算、アクセスなど)に合った場所を選びましょう。

依頼先 メリット デメリット・注意点
菩提寺(檀家寺) ・先祖代々お世話になっており、最も安心感がある ・ご先祖様のことをよく理解してくれている ・手続きや相談がスムーズ ・檀家でないと依頼できない場合がほとんど ・費用が相場より高めの場合もある ・他の選択肢(霊園など)を選ぶ場合、「離檀」の相談が必要になることがある
宗派不問の霊園・納骨堂 ・宗派に関わらず誰でも受け入れてくれる ・料金体系が明確で比較検討しやすい ・交通アクセスが良い場所を選べる ・施設が現代的で清潔(バリアフリー対応など) ・供養が合同・簡素になる場合がある ・経営母体(宗教法人、財団法人、民間企業など)の安定性を確認する必要がある ・年間管理費が別途必要な場合が多い
専門業者・仏壇店 ・一時預かりやお焚き上げ代行など、サービスが特化していて分かりやすい ・手続きが簡便(郵送対応など)で利便性が高い ・永代供養(長期の供養)は扱っていない場合がある ・あくまで「預かり」や「代行」であり、実際の供養はお寺に委託している場合もある

(参考:文化庁:宗教法人と宗教行政

お墓や永代供養に関する契約では、残念ながら消費者トラブルも報告されています。例えば、「契約内容と説明が違った」「管理費が一方的に値上げされた」といったケースです。国民生活センターなども注意を呼び掛けており、契約前には必ず複数の施設を比較検討し、契約書の内容を(特に費用と管理、期間終了後の扱いについて)徹底的に確認することが重要です。

もし菩提寺(檀家としてお付き合いのあるお寺)がある場合は、まず最初に菩提寺に相談するのが筋道です。菩提寺に相談なく他の霊園などで永代供養を行うと、それは事実上の「離檀(だんだん)」(檀家をやめること)にあたる可能性があり、後々のトラブル(例:菩提寺にあるお墓への納骨を断られるなど)に発展する可能性があります。まずは「後継者がおらず、将来の供養について悩んでいる」と正直に相談してみましょう。

失敗しない!預ける時の4ステップ

失敗しない!預ける時の4ステップ

位牌を預ける(特に永代供養)際は、思いつきで進めず、以下のステップを順に踏むことが大切です。

【位牌を預ける手順】

ステップ1:家族・親族と相談する 最も重要なステップです。位牌は個人ではなく「家」のものであり、家族や親族全員に関わるものです。「費用は自分が出すから」と一人で決めず、必ず事前に全員(配偶者、兄弟姉妹、子供たち、場合によっては叔父叔母など)で話し合いましょう。「なぜ預けるのか」「費用負担はどうするか」「今後の法要はどうするか」について合意を得ておくことが、後々のトラブルを防ぎます。

ステップ2:預け先を探し、相談・見積もり 上記の「依頼先の選び方」を参考に、菩提寺や霊園に連絡します。必ず現地を見学し、清掃状況、管理者の人柄、お参りのしやすさ(アクセス、バリアフリー)、周囲の環境などを自分の目で確認してください。その上で、費用(初期費用、年間管理費など)の内訳が明確に記載された見積書をもらい、契約書の内容(特に契約期間と期間終了後の扱い)を詳細に確認します。

ステップ3:閉眼供養(魂抜き)の依頼 預け先(契約先)が決まったら、現在の位牌から魂を抜く「閉眼供養」を僧侶に依頼します。菩提寺がある場合は菩提寺の住職に、ない場合は、預け先のお寺がそのまま行ってくれる場合もありますし、自分で僧侶を手配(僧侶派遣サービスなど)する場合もあります。儀式は自宅の仏壇前か、お寺に位牌を持ち込んで行います。

ステップ4:契約と位牌の引き渡し 永代供養の契約書の内容を最終確認し、署名・捺印の上、費用を支払います(振込の場合も多いです)。その後、閉眼供養を終えた位牌を預け先(お寺や霊園)に引き渡します(一時預かりの場合は、閉眼供養は不要な場合もあります)。

位牌を預ける際のよくある質問

位牌を預ける際のよくある質問

位牌を預けるにあたり、多くの方が抱く細かな疑問にお答えします。

Q. 菩提寺(檀家寺)以外のお寺でも預かってもらえますか?

A. はい、可能です。最近は「宗派不問」を掲げるお寺や霊園が多いため、菩提寺が遠方の場合や、そもそもお付き合いのあるお寺がない場合でも受け入れてもらえます。 ただし、前述の通り、菩提寺がある場合はトラブル防止のため「将来の供養について悩んでいる」と事前に相談することをお勧めします。その上で、菩提寺での永代供養が難しい場合は、他の場所を探す許可を得ておくとスムーズです。

Q. 宗派が違うと預けられませんか?

A. 「宗派不問」の施設であれば問題ありません。これは、宗教法人法上の規則や、お寺の方針として門戸を広く開いているためです。 ただし、預けた後の供養方法(読経など)は、その施設(お寺)の宗派の形式で行われるのが一般的です。「うちは浄土真宗だが、預け先は曹洞宗のお寺」といった場合、供養は曹洞宗のやり方で行われます。その点を理解した上でお申し込みください。

Q. お骨(遺骨)も一緒に永代供養できますか?

A. 可能です。多くの納骨堂や永代供養墓では、お骨と位牌をセットで預かるプランが用意されています。お骨は納骨壇や合祀墓に、位牌は位牌堂に、と別々に安置される場合もあれば、仏壇式の納骨堂などでお骨と位牌を同じブースに安置できる場合もあります。費用は別途かかりますが、一緒に管理してもらえるため安心です。

Q. お布施や費用はいつ渡せばいいですか?

A. お布施(閉眼供養など)は、儀式が終了した後、僧侶がお帰りになる際に「本日はありがとうございました」というお礼の言葉とともに、袱紗(ふくさ)から取り出してお渡しするのが一般的です。お布施袋の表書きは「お布施」とし、下に氏名を書きます。 永代供養料などのまとまった費用は、契約時に支払う(または後日振り込む)ことが多いです。これはお寺や霊園の規定に従ってください。

まとめ:位牌をお寺に預ける費用の確認点

位牌をお寺に預ける費用の確認点

この記事では、位牌をお寺に預ける費用について、様々な角度から解説しました。ご自身の状況や悩みに当てはまるものは見つかったでしょうか。最後に、重要なポイントをリストで確認しましょう。

  • 位牌を預ける費用は「永代供養」「一時預かり」「処分」で大きく異なる
  • 永代供養の相場は1万円から50万円程度と安置方法によって幅がある
  • 一時預かりの相場は年間1万円から3万円程度が目安
  • 位牌を処分する際は必ず「閉眼供養(魂抜き)」が必要
  • 閉眼供養のお布施は1万円から5万円程度が目安
  • 閉眼供養後には「お焚き上げ(焼却供養)」を行う
  • お焚き上げの費用は5千円から3万円程度が目安
  • 仏壇に位牌が複数ある場合は「繰り出し位牌」にまとめる方法がある
  • 繰り出し位牌への費用は本体代+文字入れ代+お布施で5万円から15万円程度
  • 位牌の作り直し費用も「まとめる」場合とほぼ同額
  • 位牌をいつまで祀るかの節目として「弔い上げ(三十三回忌など)」がある
  • 依頼先は「菩提寺」「宗派不問の霊園」「専門業者」が選択肢
  • 菩提寺がある場合は、まず菩提寺に相談するのがトラブル回避の鍵
  • 位牌に関することは必ず事前に家族・親族で話し合う
  • 費用はあくまで目安であり、必ず事前に見積もりを取って内訳を確認する

最終的なご確認のお願い この記事で紹介した費用や相場は、あくまで一般的な目安です。お布施の金額や供養料は、お住まいの地域、お寺との長年の関係性、具体的な供養の形式によって大きく異なります。 ご先祖様に関わる大切なことです。

具体的な金額や手順については、必ず依頼を検討しているお寺や霊園、または信頼できる石材店、仏具店に直接ご相談・お問い合わせいただき、正確な見積もりと説明を受けた上で、ご判断ください。

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