失敗しない香典返しマナーとおすすめ品|高額香典の相場やタブー・挨拶状まで徹底解説

香典返しマナーとおすすめ品|相場早見表とタブーな品完全版 仏教

四十九日が近づき、香典返しの手配を始めるにあたって、「いくら返せばいいのか」「何を選べば失礼がないか」と不安を感じていませんか。大切な方を亡くされた悲しみの中で、慣れないマナーやしきたりに対応するのは大変な心労を伴います。

一般的に香典返しの相場は半返しが基本と言われていますが、いつ送るのが正解なのか、特に浄土真宗の場合は時期が異なると聞くと迷ってしまいますよね。また、職場の方へ連名でいただいた場合のお返しにはお菓子が便利ですが、選んではいけないタブーやダメなものの区別も大切です。

最近では便利さからカタログギフトや商品券を選ぶ方も増えていますが、のしの書き方や添える挨拶状にも細かいルールが存在します。もし先方から辞退されたらどう対応すべきか、いらないと言われた場合の対処法も含めて、この記事で詳しく解説します。

この記事でわかること

    • 香典返しの金額相場と半返しや3分の1返しの判断基準
    • 宗派ごとの送る時期や浄土真宗における注意点
    • 職場や連名へのお返しに適した品物選びとマナー
    • タブーな品物や挨拶状の書き方など手配の全手順

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香典返しマナーとおすすめの基礎知識

香典返しをスムーズに進めるためには、まず「金額」「時期」「形式」といった基本ルールを押さえておくことが大切です。地域や宗教によって異なるマナーの正解を確認し、失礼のない手配を目指しましょう。

半返しの相場と金額の目安を解説

半返しの相場と金額の目安を解説

香典返しの金額相場は、いただいた香典の金額に対して「半返し(半額)」が基本とされています。これは「半額程度(50%)」の品物をお返しするという意味で、関東を中心に広い地域で一般的なルールです。例えば、10,000円の香典をいただいた場合は5,000円程度の品物を選びます。

一方で、必ずしも半返しにこだわらなくて良いケースもあります。一家の働き手が亡くなった場合や、未成年の子供を残して亡くなった場合は、今後の遺族の生活資金を考慮して「3分の1返し」程度に留めることが社会通念上許容されています。

また、親族や会社関係者から高額な香典(3万円〜10万円以上)をいただいた場合も同様です。高額な香典には「遺族への支援」や「葬儀費用の足しにしてほしい」という扶助の気持ちが込められています。

そのため、律儀に半額をお返しするとかえって相手を恐縮させてしまったり、「支援の気持ちを拒否された」と感じさせてしまったりする可能性があります。このような場合は、3分の1から4分の1程度(例:5万円なら15,000円〜2万円程度)に抑えるのが一般的です。

さらに、葬儀当日に2,000円〜3,000円程度のハンカチやお茶などを「当日返し(即日返し)」として渡している場合は、いただいた香典額からその分を差し引いた金額を目安にお返しを選びます。

なお、香典返しは社会通念上相当と認められる範囲内であれば、贈与税の課税対象にはなりません。あくまで常識的な範囲で行うことが重要です。(参照:国税庁「贈与税がかからない場合」

いただいた香典金額に対するお返しの目安
いただいた香典 半返し(基本) 3分の1返し(高額・例外)
3,000円 1,500円程度
5,000円 2,500円程度
10,000円 5,000円程度 3,000円〜3,500円
30,000円 15,000円程度 10,000円程度
50,000円 15,000円〜20,000円
100,000円 30,000円〜35,000円

3,000円以下の少額な香典の場合
職場の方などから3,000円以下の香典をいただいた場合、半返しでは品物選びが難しく、配送料の方が高くついてしまうこともあります。この場合は、一律でタオルやお茶などの小物を送るか、後述する職場へのお菓子の章を参考に、部署単位でまとめてお返しをする方法も一般的です。

いつ送る?浄土真宗など宗派別の時期

いつ送る?浄土真宗など宗派別の時期

香典返しを送る時期は、仏式では一般的に「四十九日(忌明け)の法要後、2週間以内」が目安とされています。「無事に忌明けを迎え、法要を滞りなく済ませました」という報告を兼ねて送るものだからです。

ここで注意が必要なのが「浄土真宗」の場合です。浄土真宗の教義では、故人は亡くなってすぐに仏様になる(即得往生)と考えられており、霊としてさまよう期間がないため「忌明け」という概念自体がありません。そのため、教義上は四十九日を待つ必要はなく、初七日(亡くなってから7日目)から1ヶ月以内にお返しをするのが正しいとされることがあります。

しかし、現代の慣習としては、親族や参列者の混乱を避けるため、他の宗派に合わせて「四十九日(満中陰)法要の後」に送ることが一般的になりつつあります。地域や菩提寺によって考え方が異なるため、迷った際は自己判断せず、親族や寺院に確認することをおすすめします。

宗教・宗派 香典返しを送る時期の目安
仏式(一般) 四十九日法要の後(忌明け後)から1ヶ月以内
仏式(浄土真宗) 初七日後から1ヶ月以内、または四十九日法要後(地域による)
神式 五十日祭(仏式の四十九日に相当)の後から1ヶ月以内
キリスト教式 死去後1ヶ月目の追悼ミサ(カトリック)や召天記念日(プロテスタント)の後

のしの書き方と表書きの注意点

のしの書き方と表書きの注意点

香典返しには必ず「掛け紙(のし紙)」を掛けます。「のし」と言われますが、弔事用には右上の「のしあわび」の飾りがないものを使用します。水引は「黒白の結び切り」が基本ですが、関西地方や北陸、中国・四国地方の一部では「黄白の結び切り」が用いられることが一般的です。

「結び切り」には、「二度と繰り返さない」という意味が込められています。

表書き(水引の上部分)には、宗教や宗派を問わずに使える「志(こころざし)」と書くのが最も無難で間違いがありません。これひとつで仏式、神式、キリスト教式のすべてに対応可能です。

地域別の特徴として、関西地方では「満中陰志(まんちゅういんし)」、神式やキリスト教式では「偲び草(しのびぐさ)」と書くこともあります。

水引の下部分には、喪主の姓(「〇〇家」)または喪主のフルネームを記載します。配送で送る場合は、配送中にのしが破れたり汚れたりしないよう、包装紙の内側に掛ける「内のし」を選びます。

一方、手渡しする場合は、相手に目的が一目で伝わるよう、包装紙の外側に掛ける「外のし」にするのがマナーとされています。

挨拶状の基本構成と文例を紹介

挨拶状の基本構成と文例を紹介

品物を郵送で届ける場合は、直接お礼を言えない代わりとして「挨拶状(お礼状)」を添えるのがマナーです。近年では、奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる正式な巻紙タイプだけでなく、略儀としてのカードタイプも広く利用されています。

挨拶状を作成する際の最大の特徴は、「句読点(、。)を使わない」ことです。これには「法事が滞りなく流れるように」という意味や、「古来の毛筆書きの慣習を守る(元々日本には句読点がなかったため)」といった敬意表現の意味が込められています。

【そのまま使える】挨拶状の文例(一般仏式)

謹啓
御尊家御一同様には愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日は亡父 〇〇儀 葬儀に際しましては御多忙中にも拘わらず御懇篤なる御弔慰を賜り
且つ過分なる御厚志を戴きまして誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちましてこの程 四十九日の法要を滞りなく相済ませました
つきましては供養のしるしとして心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒御受納ください
本来ならば拝眉の上御挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちまして謹んで御礼申し上げます
敬白

令和〇年〇月〇日
喪主 〇〇 〇〇

浄土真宗の場合は、「忌明け」という言葉を使わず、「おかげさまで満中陰の法要を滞りなく済ませ…」や「四十九日の法要を済ませ…」といった表現に書き換える必要がある点に注意しましょう。

なお、挨拶状(信書)を宅配便の荷物に同梱することは、郵便法や各運送会社の約款によって取り決めがあります。一般的な香典返しに添える挨拶状は「貨物に添付する無封の添え状」として同梱可能ですが、封をして個別に送る場合はルールが異なるため注意が必要です。(参照:日本郵便「荷物に手紙を入れることはできますか?」

辞退されたら?いらないと言われた場合の対応

辞退されたら?いらないと言われた場合の対応

故人の生前の意向や、遺族の負担軽減を気遣って「香典返しは辞退します」と申し出られることがあります。連名での香典や、公的機関・企業の規定で受け取れない場合など、理由は様々です。

この場合、無理に品物を送ることは相手の厚意を無にすることになりかねないため、ご厚意に甘えて品物は送らないのが基本のマナーです。無理に送り返すと、かえって相手を困らせてしまうこともあります。

ただし、何もしないわけではありません。忌明けのタイミングで、品物は添えずに「挨拶状(お礼状)」だけを送付し、香典への感謝と法要を済ませた報告を必ず行いましょう。その際、「返礼不要とのお心遣い、誠にありがたく感謝申し上げます」といった一文を添えると、感謝の気持ちが伝わります。

どうしてもお返しをしたい場合
高額な香典をいただいた場合など、どうしても気が済まないときは、お中元やお歳暮の時期に合わせて贈り物をしたり、後日食事の席を設けておもてなしをしたりする方法があります。「香典返し」という名目ではなく、別の機会に感謝を伝えるのがスマートです。

香典の代わりに「供花」や「お供え」をいただいた場合のお返しは?

香典の代わりに「供花」や「お供え」をいただいた場合のお返しは?

現金のご香典ではなく、祭壇に飾る「供花(きょうか)」や、お菓子などの「お供え物」をいただくことがあります。この場合、香典返しという形でのお返しは原則として不要とされています。香典返しは本来、いただいた「お香典(現金)」に対する返礼だからです。※地域によっては習慣が異なる場合があるため、親族に確認すると安心です

ただし、いただきっぱなしにするのが心苦しい場合や、1万円を超えるような高額なスタンド花などをいただいた場合は、感謝の気持ちとして「お礼状」を送るのがマナーです。

さらに丁寧にしたい場合は、いただいた金額の3分の1から数千円程度の「ちょっとしたお菓子」や「タオル」などを、忌明けのタイミングでお礼状に添えて送ると良いでしょう。お供え物をいただいた場合も同様に、相手に気を使わせない範囲(1,000円〜2,000円程度)のお礼をすることがあります。

香典返しマナーとおすすめの品物選び

マナーを確認した後は、具体的な品物選びです。定番の「消えもの」から、相手に選んでもらうカタログギフトまで、失敗しない選び方をご紹介します。

職場へのお菓子は個包装が最適

職場へのお菓子は個包装が最適

職場の部署一同や有志の連名で香典をいただいた場合、一人当たりの金額が数百円〜千円程度になることが多く、個別に配送すると送料の方が高くなってしまうケースがあります。このような場合は、「〇〇課御一同様」として職場にまとめてお菓子を送るのがスムーズです。

お菓子を選ぶ際は、職場の環境を考慮した「配りやすさ」が最優先です。以下の条件を満たすものを選びましょう。

職場へのお返し選びのポイント

  • 個包装であること:デスクで配りやすく、持ち帰りやすいため必須です。切り分けが必要な羊羹やロールケーキなどは避けましょう。
  • 日持ちすること:常温で2週間以上(できれば1ヶ月以上)保存できるクッキー、フィナンシェ、おかきなどが安心です。受け取った人がすぐに食べられるとは限りません。
  • 数が十分にあること:所属人数よりも少し多めに入っているものを選び、行き渡らない事態を防ぎます。万が一足りないと気まずい思いをさせてしまいます。

お菓子を持参する場合は、始業前やお昼休みなど業務の妨げにならない時間帯を選び、上司に一言挨拶をしてから給湯室などの共有スペースに置かせてもらうのが一般的です。

カタログギフトのメリットと選び方

カタログギフトのメリットと選び方

近年、香典返しの品として最も選ばれているのがカタログギフトです。最大のメリットは、受け取った相手が必要なものを自由に選べるため、「好みに合わないものを送ってしまう」というリスクがない点です。

また、価格帯が2,000円台から数万円台まで細かく設定されているため、いただいた香典額に合わせて「半返し」の計算がしやすく、かさばらないため配送もしやすいという利点があります。特に、好みがわからない方や、遠方の方へのお返しには最適です。

一方で、「味気ない」「選ぶのが面倒(ハガキを書くのが手間)」と感じる年配の方も一部いらっしゃいます。その場合は、挨拶状を丁寧に添えたり、カタログギフトとお菓子のセット(タオルとのセットなど)を選んだりすることで、「選ぶ楽しさ」と「贈り物の温かみ」の両方を伝えることができます。(参照:国民生活センター:カタログギフトの有効期限にご注意(PDF:224K

商品券を贈る際のマナーと注意点

商品券を贈る際のマナーと注意点

商品券やギフトカードは非常に実用的で喜ばれる品物ですが、香典返しとして贈る場合には慎重な判断が必要です。金額がはっきりと分かってしまうため、受け取る方によっては「現金を突き返された」ような印象を持たれる可能性があるからです。

特に、目上の方やしきたりを重んじる方へ贈るのは避けたほうが無難とされています。どうしても商品券を送りたい場合は、お菓子やタオルなどの品物とセットにして金額をぼかしたり、事前に親族に地域の慣習を確認したりすることをおすすめします。

「金額がわかるものは避ける」というのは、日本古来の奥ゆかしい贈り物文化の一つです。

選んではいけないタブーな品物とは

選んではいけないタブーな品物とは

香典返しには、古くからの慣習として「選んではいけない」とされる品物が存在します。知らずに送ってしまうとマナー違反となるため、必ず確認しておきましょう。

まず、「四つ足生臭もの」と呼ばれる肉や魚は避けるべき代表格です。これらは「殺生」を連想させるため、仏事の贈り物としては不適切とされています。また、お酒などの嗜好品も、「お祝いの席で振る舞うもの」というイメージが強いため、基本的にはタブーです。

さらに、結婚式の引き出物などで喜ばれる「昆布」や「鰹節」も要注意です。昆布は「喜ぶ(よろこんぶ)」、鰹節は「夫婦円満(背節と腹節が対になることから)」を象徴する縁起物であるため、悲しみの場である弔事にはふさわしくないとされています。

香典返しでダメなものの具体例一覧

香典返しでダメなものの具体例一覧

前述の理由を踏まえ、具体的に避けるべき品物をリストアップしました。品物選びの最終チェックとしてご活用ください。

香典返しで避けるべき品物リスト

  • 生肉・ハム・ソーセージ:殺生を連想させるためNG。
  • 鮮魚・干物:同様に生臭ものとしてNG。
  • お酒(ビール・日本酒・ワイン):慶事を連想させるためNG(故人が好きだった場合でも慎重に)。
  • 昆布・鰹節:縁起物であるためNG。
  • 鶴亀や松竹梅のデザイン:長寿や祝い事を意味するためNG。
  • 紅白のパッケージ:お祝いの色であるため、落ち着いた色味(白、青、グレーなど)を選ぶ。
  • 金額が露骨な現金・金券:目上の方には特に避ける。

ただし、これらが掲載されている「カタログギフト」を送り、相手がその中から肉や魚を選ぶ分には問題ありません。あくまで「送り主が直接選んで送る」場合に避けるべき品物です。

香典返しに関するよくある質問(FAQ)

最後に、香典返しの準備中に迷いやすいポイントをQ&A形式でまとめました。

Q. お礼の電話はしたほうがいいですか?
A. 基本的には、品物に添える「挨拶状(お礼状)」で感謝を伝えるのが正式なマナーであり、電話をする必要はありません。むしろ、電話をすることで相手の時間を取ってしまうと考える方もいます。ただし、親しい親族や友人の場合は、到着確認も兼ねて電話で感謝を伝えても失礼にはあたりません。

Q. 会社名義(社長名など)の香典にお返しは必要ですか?
A. 会社の「福利厚生費(経費)」として出されている場合、お返しは不要です(受け取ると経理処理が複雑になるため)。ただし、社長個人のポケットマネーである可能性もあるため、判断に迷う場合は総務担当者に確認するか、忌明けに菓子折りを持って挨拶に行くと丁寧です。

Q. 郵送する場合、送り状の「品名」はどう書けばいいですか?
A. 配送伝票の品名欄には、「お菓子」「タオル」のように具体的な中身を記載します。「香典返し」と書くと、配送業者が取り扱いに困る場合や、受け取る方がギョッとしてしまう場合があるため避けるのが一般的です。ただし、のしの表書きにはきちんと「志」などを記載します。

まとめ:香典返しマナーとおすすめ品

最後に、香典返しの手配における重要ポイントをまとめます。一つ一つ確認して、安心して手配を進めてください。

  • 香典返しの相場は「半返し(半額)」が基本ルール
  • 一家の働き手が亡くなった場合などは「3分の1返し」でも可
  • 送る時期は四十九日(忌明け)の法要後2週間以内が一般的
  • 浄土真宗も慣習として四十九日法要後に送ることが多い
  • 職場連名へは「個包装・日持ち・常温」のお菓子をまとめて送る
  • カタログギフトは相手が選べるため失敗が少なくおすすめ
  • 商品券は金額がわかるため目上の方へは避けるのが無難
  • のしの水引は「黒白結び切り」、関西などでは「黄白」
  • 表書きは宗教問わず使える「志」が最も間違いがない
  • 挨拶状には句読点を使わず、法要の報告と感謝を記す
  • 辞退された場合は無理に送らず、挨拶状のみ送付する
  • 供花やお供えのみの場合はお返し不要だがお礼状は送る
  • 肉や魚などの「生臭もの」は殺生を連想させるためタブー
  • お酒や昆布などの「慶事」を連想させる品物も避ける
  • 迷った際は地域の慣習や親族、菩提寺に確認するのが確実
  • 相手への感謝と報告の気持ちを込めて手配を完了させる
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