恥をかかない香典のお金の入れ方!お札の向き上下や中袋なし・千円札5枚の対処法まで解説

香典お金の入れ方とマナー!お札の向きや中袋なしの正解マナーを解説 仏教

急な訃報に接し、慌ただしい中で準備を進める際、香典袋へのお金の入れ方に戸惑ってしまってはいないでしょうか。「故人に対して失礼があってはいけない」と思うほど、特にお札の向きや上下はどうすべきか、裏表はどちらが正解なのかと不安になるものです。

基本的なお札の入れ方や、市販の袋に多い中袋ありの場合の手順は、いざという時のためにしっかりと確認しておきたい知識です。

また、近年コンビニエンスストアなどで手軽に入手できる簡易的なタイプでは、入れ方や中袋なしならではの作法が存在し、お札の向きは中袋なしでも同じなのか、それとも変えるべきなのか迷うこともあるかもしれません。

さらに、お金を入れた後の袋の閉じ方や折り方、持参する際の袱紗(ふくさ)へのたたみ方、閉じ方ののり付けの要否といった仕上げのマナーも、弔意を表す上で非常に重要です。

手元に新札しかない場合や、手持ちがなく千円札5枚を包む際の対応も含め、故人を偲ぶ気持ちを正しく形にするための、失礼のない作法を詳細に解説します。

  • お札の向きや上下など香典を入れる際の基本ルールと理由
  • 中袋の有無によるお金の入れ方の違いと詳細な手順
  • 香典袋の裏側の折り順やのり付けに関する正しいマナーと郵送時の対応
  • 新札や千円札しか手元にない場合の適切な対処法

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香典のお金の入れ方とマナー

香典を用意する際、表書きの筆耕と同様に、あるいはそれ以上に重要になるのがお金を入れる際のマナーです。故人への哀悼の意を表すために、お札の向きや入れ方には古くからの決まりごとがあります。

これらは単なる形式ではなく、遺族に対する思いやりや、悲しみの深さを表現するための「言葉のないメッセージ」でもあります。ここでは、基本となるお札の扱い方から、中袋の有無による具体的な手順までを詳しく解説していきます。

基本的な香典袋へのお金の入れ方

基本的な香典袋へのお金の入れ方

香典袋にお金を入れる行為は、単なる事務的な封入作業ではなく、故人へのお悔やみの気持ちを包む儀式のような意味合いを持っています。そのため、適当に入れてよいものではなく、受け取る遺族への配慮も含めた一定のルールが存在します。

慌てて準備をすると、ついうっかり結婚式などのお祝い事(慶事)と同じ入れ方をしてしまうことがあります。慶事と弔事では多くの作法が「逆」になるため、その違いを意識することが大切です。

基本的には、お札を取り出したときに肖像画が見えないように配慮するのが弔事のマナーとされています。これは「悲しみに暮れて顔を伏せる」という意味や、「突然の訃報で準備が整っていなかった(取り急ぎ駆けつけた)」ことを表すとされているからです。まずはこの大原則を理解した上で、具体的なお札の向きを確認していきましょう。

お札の向きは上下や裏表を確認

お札の向きは上下や裏表を確認

香典に入れるお札には、厳密な「裏表」と「上下」の決まりがあります。これを間違えると、場合によっては「マナーを知らない」「失礼である」と受け取られかねないため、注意が必要です。日本銀行券(お札)において、肖像画が描かれている面が「表」、描かれていない面が「裏」と定義されています。(出典:日本銀行「お札の『表』『裏』はどちらですか?」

お札の向きの正解

お札の肖像画(顔)が描かれている面を「裏」に向け、かつ肖像画が「下(底)」に来るように入れます。

具体的には、香典袋(中袋)を表に向けたとき、中に入っているお札が「裏面」を向いている状態にします。さらに、お札の人物が袋の底側にある状態が正しいとされています。これには「顔を伏せて悲しみを表す」という意味が込められていると言われています。

また、業界団体である全日本冠婚葬祭互助協会などの情報でも、不祝儀袋へのお金の入れ方として、お札の表側が袋の裏側にくるように入れるのが一般的とされています。(参考:全日本冠婚葬祭互助協会「お葬式のマナー」

複数枚のお札を入れる場合は、すべてのお札の向きを揃えることが大切です。向きがバラバラだと、受け取った方が数える際に手間取ってしまいますし、何より丁寧さに欠ける印象を与えてしまいます。特に改刷直後などで新旧のお札が混在する場合でも、表裏と上下は必ず統一しましょう。

マナーを守った香典のお札の入れ方

マナーを守った香典のお札の入れ方

お札の向きだけでなく、お札の状態そのものにも気を配る必要があります。香典に用いるお札は、基本的には「古札(使用感のあるお札)」が良いとされています。これは、新札(ピン札)を用意していると「不幸を予期してあらかじめ準備して待っていた」と捉えられる可能性があるためです。

ボロボロすぎるお札は避ける

古札が良いとは言っても、破れているお札、汚れがひどいお札、シワだらけのお札は失礼にあたります。適度な使用感のあるきれいなお札を選ぶか、新札に一度折り目をつけて使用するのが一般的です。(参考:財務省「損傷したお金の引換え窓口」

また、お札の種類を揃えることもマナーの一つです。例えば1万円を包む場合、5千円札2枚や千円札10枚ではなく、1万円札1枚を用意するのが望ましいでしょう。枚数が多くなると袋が分厚くなり、管理上の手間を増やしてしまうからです。どうしても細かいお札になる場合は、次項以降で解説する方法で丁寧に入れます。

中袋ありのタイプの包み方手順

中袋ありのタイプの包み方手順

市販されている多くの香典袋(不祝儀袋)には、お金を直接入れるための「中袋(中包み)」が付属しています。中袋がある場合は、以下の手順で包みます。

  1. お札の肖像画を裏・下に向けた状態で全て揃えます。
  2. 中袋の「表側(金額を書く面)」に対して、お札の「裏側(肖像画がない面)」が来るように入れます。
  3. 中袋の「表」と外袋(上包み)の「表」を合わせ、外袋の中央に中袋を置きます。
  4. 外袋を左、右、下、上の順で折りたたみます(詳細は後述)。

中袋には、住所・氏名・金額を記入する欄が設けられていることが一般的です。外袋だけでなく中袋にもしっかりと必要事項を記入しましょう。これは、遺族が後で香典を整理する際、外袋と中袋が分かれてしまっても誰からの香典か分かるようにするためです。

項目 記入場所(一般的) 書き方のポイント
金額 中袋の表面中央 「金 壱萬圓 也」のように旧字体(大字)を使用するのが正式です。「一、二、三」は書き換えられやすいため、改ざん防止の意味でも「壱、弐、参」を用います。
住所・氏名 中袋の裏面左側 郵便番号も含め、読みやすい文字で丁寧に記入します。遺族がお礼状を送る際に重要な情報となります。

※記入欄が印刷されている場合は、その枠に従って記入してください。筆記具は薄墨の筆ペンが正式ですが、中袋に関しては読みやすさを重視し、黒のサインペンやボールペンでも許容される傾向にあります。

入れ方は中袋なしだとどうなる?

入れ方は中袋なしだとどうなる?

地域や宗派、あるいは簡易的な印刷多当の香典袋によっては、中袋が付いていない「中袋なし」のタイプも存在します。この場合、「中袋に入れなくて失礼ではないか」と不安になるかもしれませんが、中袋なしの香典袋を使用すること自体はマナー違反ではありません。

中袋がない場合は、外袋(香典袋本体)に直接お金を入れます。この際、外袋の裏面に金額や住所を書く欄があることが多いため、記入漏れがないように確認してください。もし記入欄がない場合は、裏面の左下に住所と金額を記載します。

中袋なしのメリット

中袋がないタイプは、受け取る側にとっても「開封の手間が省ける」「ゴミが減る」というメリットがあります。特に関西地方の一部などでは、中袋なしが一般的とされる場合もあります。金額が3,000円〜5,000円程度の場合は、豪華な水引の袋よりも中袋なしの印刷タイプを選ぶ方が金額との釣り合いが取れるとされています。

お札の向きは中袋なしでも同じ

お札の向きは中袋なしでも同じ

中袋がない場合でも、お札を入れる向きの基本ルールは変わりません。中袋ありの時と同様に「顔を伏せる(裏向き)」「顔を下にする」を守ります。

ただし、直接外袋に入れる際は、入れる時の手元と袋の向きの関係で混乱しやすいため注意が必要です。以下のポイントを意識してください。

中袋なし(直入れ)のコツ

外袋を裏返してお金を入れる際、自分から見てお札の「表(肖像画)」が見える状態で差し込むと、袋の表側から見たときに正しい「裏向き」になります。

外袋の裏側から入れるため、自分に見えている面が、そのまま袋の「裏側」になります。つまり、自分の方にお札の顔を向けて入れれば、袋の裏側に顔が来ることになり、結果として、袋の表側(のし書きがある面)から透かして見た時に「顔を伏せた」状態が完成します。

仕上げも重要!香典のお金の入れ方と作法

お金を正しく入れたら、最後に香典袋を閉じます。この「閉じ方」や「折り方」にも、弔事特有の意味が込められた作法があります。ここを間違えてしまうと、せっかくお札の向きを揃えても、最後に「慶事(お祝い)」の作法になってしまい、大変失礼になります。最後まで気を抜かず、故人を悼む気持ちを表しましょう。

悲しみを表す香典袋の閉じ方

悲しみを表す香典袋の閉じ方

香典袋(外袋)の裏側の折り返しは、慶事(お祝い)と弔事(お悔やみ)で正反対になります。ここを間違えると大変失礼にあたるため、必ず確認してから閉じてください。

弔事では、「上側の折り返しを、下側の折り返しの上に被せる」のが正解です。これには「悲しみが流れ落ちるように」「涙が溜まらないように」という意味が込められていると言われています。また、頭を下げてお悔やみを申し上げている姿を表すとも言われます。

逆に下側を上に被せると「喜びを受け止める(幸せが逃げないように)」という慶事の意味になってしまいます。絶対に間違えないようにしましょう。「喜びは上向き(下を折る)、悲しみは下向き(上を折る)」と覚えると間違いありません。

弔事における外袋の折り方

 

一般的な多当折りの香典袋の場合、以下の順番で折っていきます。お札を入れた中袋を中央に置いてからスタートします。

手順 折り方 意味・ポイント
1 左側を折る 中袋を中央に置いた後、まずは左側の紙を内側に折ります。
2 右側を折る 右側をその上に重ねます。これで左右が閉じられます。
3 下側を折る 下側の折り返しを上に折り上げます。
4 上側を折る 最後に上側の折り返しを下向きに折り被せます。これが最も重要な工程です。

完成したとき、裏面を見て、上の紙が下の紙に覆いかぶさっている状態になっていれば正解です。水引がある場合は、最後に水引を元通りにはめ直します。

マナー違反にならないたたみ方

マナー違反にならないたたみ方

香典袋を持参する際は、むき出しのままで持ち歩くのではなく「袱紗(ふくさ)」に包むのが大人のマナーです。この袱紗のたたみ方(包み方)にも、香典袋の折り方と同様に慶弔の区別があります。

弔事の場合は、「右 → 下 → 上 → 左」の順にたたみます。最後に左側が一番上に来るように包むのがポイントです。開き方はその逆で、受付では左手で持って左側から開くことになります。袱紗の色は、紫、緑、紺、グレーなどの寒色系を選びます。紫色は慶弔両用として使えるため便利です。

簡易的な袱紗の場合

ポケットタイプの金封袱紗を使用する場合は、左開きになるように(香典袋を右側のポケットに差し込むように)入れます。慶事の場合は右開きですので、ここでも逆になる点に注意してください。

閉じ方にのり付けは必要か

閉じ方にのり付けは必要か

 

中袋にお金を入れた後、封筒の口をのり付けすべきかどうか迷う方も多いでしょう。基本的には、中袋へののり付けは不要とされています。

理由は、遺族や受付係が中身を確認して集計する際、のり付けされていると開封の手間がかかるためです。外袋で包んで水引をかければお金が出る心配はほとんどないため、開けたままにしておくのが親切なマナーと言えます。

ただし、例外もあります。以下のケースではのり付けを検討しても良いでしょう。

  • 金額が非常に大きく、紛失が心配な場合
  • 香典を郵送する場合(現金書留封筒に入れる前の中袋)
  • 中袋に「〆」や「封」の印字があり、封をする前提の仕様になっている場合

特に郵送の場合は、現金書留を利用する必要がありますが、中のお金が出ないよう確実に封をすることが推奨されます。郵便局の公式サイトでも、現金書留封筒の使い方として、内容物が飛び出さないよう封をすることが案内されています。(参考:日本郵便「書留」

のり付けをした場合は、封じ目に「〆」や「封」という字を書いておきます。これは「確かに封じました」「誰にも開けられていません」という証になります。

急な不幸で新札しかない時の対応

急な不幸で新札しかない時の対応

前述の通り、香典には古札を使うのが伝統的なマナーですが、最近はATMで引き出すと新券が出てくることが多く、またキャッシュレス化の影響で手元のお札が新札(ピン札)しかないというケースも増えています。(参考:国立印刷局「新しい日本銀行券について」

そのような場合は、わざわざ古いお札を探したり両替したりする必要はありません。新札に一度折り目をつけてから包めば問題ないとされています。現代においては、お札が汚いことよりも、清潔感のあるお札を丁寧に包むことの方が重視される傾向もあります。

折り目のつけ方

お札の長辺(長い方)の中央で半分に軽く折り、折り目をつけてから元に戻します。これだけで「新札ではない(使用した形跡がある)」状態になります。無理にくしゃくしゃにしたり、汚したりする必要はありません。

千円札5枚を包む場合のマナー

千円札5枚を包む場合のマナー

5千円を香典として包む場合、「五千円札1枚」を用意するのが理想的ですが、手元に千円札しかない場合もあります。結論から言うと、千円札5枚で包んでもマナー違反ではありません。

ただし、以下の点に注意して包むようにしましょう。

  • 5枚すべてのお札の向き(裏表・上下)をきれいに揃える
  • 厚みが出るため、中袋に入れる際にお札が折れたり引っかかったりしないよう丁寧に入れる
  • 「4枚(死)」や「9枚(苦)」など、不吉な数字の枚数にならないようにする

枚数が多くなると、受け取った側が数える手間がかかるため、可能であれば五千円札を用意するか、コンビニ等のATMで引き出すなどの配慮ができるとなお良いでしょう。どうしても千円札になる場合は、「準備不足で申し訳ありません」という気持ちを込めて、向きだけは完璧に揃えて入れましょう。

まとめ:香典のお金の入れ方総括

香典のお金の入れ方には、故人を偲び、遺族を気遣うための細かい作法があります。これらは形式的なことのように思えますが、一つ一つに「悲しみを共有する」「相手に負担をかけない」という意味が込められています。最後に、確認すべきポイントをまとめました。

  • お札の肖像画(顔)がある面を裏側に向ける
  • 肖像画が香典袋の底(下側)に来るように入れる
  • 複数枚のお札を入れるときは全ての向きをきれいに揃える
  • 新札しかない場合は一度折り目を付けてから包む
  • 中袋がある場合は中袋の表とお札の裏を合わせる
  • 中袋がない場合は自分から見てお札の顔が見える向きで外袋の裏から入れる
  • 外袋の裏側の折り返しは上側を最後に被せる(下向きにする)
  • 上側を被せるのは悲しみが流れ落ちるようにという意味がある
  • 中袋へののり付けは基本的には不要である(郵送時などを除く)
  • 金額や住所は読みやすい字ではっきりと記入する
  • 4枚や9枚など死や苦を連想させる枚数は避ける
  • 千円札5枚で包む場合は向きを揃えて丁寧に入れる
  • 袱紗には左開きになるように包んで持参する
  • お札が汚すぎたり破れていたりしないか確認する

これらのマナーを守ることで、故人への最後のお別れを、心安らかに、そして礼節を持って行うことができます。

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